2018年3月、ベトナムと米国との新たな関係を象徴的に示すものであり、ASEANの力学関係を揺るがす一大事件が起きた。 ベトナムは、米国との戦争で熾烈な激戦地だったベトナム中部ダナンに、米空母の入港を許可した。 中国と激しく領土紛争中の黄砂群島HoangSa、(国際名パラセル群島、中国名西沙群島)に近い所に中国を見よと言わんばかりに米空母を停泊させたのだ。 米国の航空母艦が動くと、護衛する駆逐艦と巡洋艦が5-7機、原子力潜水艦が2機ついていき、ほとんどの国を焦土化させる軍事力がある。 中国の立場では、アセアン軍事最強国であり、中国としては最もぎこちない関係であるベトナムが、世界最強の軍事大国である米国と手を組んだことなので、中国としては大変なことだ。
このようなベトナムと中国との関係について、同じ社会主義国家であり、米国との戦争時に中国と同盟関係だったため、互いに仲が良くないということに疑問を抱く人が多い。 ベトナムと中国は3千年以上の犬猿の仲で、ベトナムは中国から1千年間支配を受けてきた。 ベトナムは、米国との戦争中にもソ連と親しく中国を牽制してきたことには、このような歴史的な背景がある。 ベトナムは、米国との戦争が終わるやいなや人々を虐殺した親中政権カンボジアのポルポト政権を倒すと、1979年に中国がベトナムを侵略してくる。 30万人の精鋭中国共産軍が攻撃を浴びせたが、ベトナム北部の予備兵力と国境守備隊がこれを退け、45日で中国の敗北に終わった。 中国としては恥辱の歴史だ。
ベトナムは勝利したが、隣国の開国とぎこちない関係にあってもいいことはないという現実的で合理的な判断をしたベトナム政府は、中国と戦争が終わって3ヵ月後にまず中国に和解の手を差し伸べ、経済協力を再開する。 相手のメンツは立ててあげながら実利を得る実に柔軟で合理的なベトナムに違いない。
中国と良好な関係を維持しながら常に経済をしている綱渡りの達人ベトナムも、中国の一大一路を通じた帝国主義の野心と絶え間ない領土紛争の挑発で忍耐の限界に達したのではないかと思われる。 ベトナムが実質支配している「HoangSa」、「(国際名パラセル群島、中国名西沙群島)」、「Truongsa」(国際名·スパドリー群島、中国名南沙群島)に対する露骨な紛争は、全国的な反中デモを起こし、中国国籍の工場と会社が倒壊し、中国人労働者3人が死亡する事態が発生した。 母胎反中:中国を嫌うベトナム人が骨の髄まで歴史意識を反証した。
また、中国はメコン川流域開発支援を名分に一対一路を通じてカンボジア、ラオスの政治的後見人であると同時に強大な影響力を行使しているベトナムの心を刺激している。
メコン川は、4,180kmに達する世界で12番目に長い川で、中国チベット発祥の—ミャンマー—ラオス—タイ—カンボジア—ベトナムの6カ国を経て流れる川。6,500万人もの人口がこのメコン川流域に住み、メコン川を通じて直接的な経済活動を行っている。 厳しい経済状況の中、電力事情の悪いミャンマー、ラオス、カンボジアに中国が低金利で金を貸して水力発電所を建設するとして建設したダムが11基、今後30年までに30基から最大70基までダムが追加で建設される予定だ。
メコン川は、生物多様性では世界2位、淡水漁業量では世界1位を誇るインドシナ半島の生命の源泉だ。 ところで、水力発電のためのダム建設によりタイ、カンボジア、ベトナムのような川の下流に位置する国々のメコン川への流入量は急激に減っている。
タイ北部のチェンライでは2m以上急激に低くなった川の水位のため、メコン川から中国を行き来する貨物船が座礁し、建機の間運航ができなかった。 中国が雨季の6月~10月まではダム放流の日程を共有しているが、その他の期間には日程を共有しておらず、チェンライ人 の生計に莫大な打撃を被っている。 次々と建設されているダムと、これにより減少した流入量のためカンボジア·ベトナムの漁業量は、毎年急激に減っている。
中国は名目上では自国の電力量確保と低開発国ラオス、カンボジア、ミャンマーを助けるためとはいえ、すでに中国雲南省地域の電力量は残っており、ラオス、カンボジアのために建設された水力発電所から出る電力はタイ、ベトナムから購入している。
上記の図表を見ても分かると思うが、ダムの建設量が多くなる度にカンボジアとベトナムの漁業量が半分になる深刻な被害を受けており、中国のダム建設支援はアセアン諸国の葛藤を煽っている。 中国がメコン川の水力発電で、インドシナ半島の国家を手なずけ始めたのだ。 中国の影響力が強くなったことを憂慮した日本は、メコン川インフラ支援事業を中止し、米国と日本の影響力が強いアジア開発銀行ACEも、メコン川インフラ投資を中止した。 韓国ではベトナムの地位はよく分かっていないが、ベトナムはインドシナ半島の大国だ。 ラオスとカンボジアの政権自体がベトナムによって設立され、今でもベトナムの影響力下にある。 カンボジアの象徴アンコールワット社員の管理権50%以上はベトナム企業が持っている。 カンボジア国籍機のアンコールエアの持分の半分はベトナム航空が持っている。 ラオス、カンボジアはベトナムの衛星国家である。
一方、ラオスとカンボジアの経済力は、タイによって牛耳られている。 タイ語とラオス語はほぼ同じで、各国語で話してもお互いの意思疎通に支障がなく、タイで働くカンボジア人30万人だ。 タイでカンボジア人労働者を取り締まり始めると、カンボジア経済が揺らぐ。 このようにタイとベトナムによって牛耳られていたカンボジア、ラオスに中国の影響力が次第に強くなり、インドシナ半島の雰囲気が尋常ではない方向に動いている。
中国はアセアンに柔和ジェスチャーを送るふりをしている。 メコン川の発祥地である中国の蘭昌江とアセアンで呼ばれているメコン川に因んで、蘭昌-メコン川協力外相会議というものを開催し、表向きにはメコン川流域の6カ国間の協力を図っているように見える。 しかし、実質的に経済に悪影響を受けているベトナム、カンボジアは反発を続けている。
中国と領土紛争を繰り広げているベトナム東海のチュンサ諸島やホアンサ諸島についたアセアン首脳らの団結された懸念の声がこれ以上出ていない。 中国のためだ。 特にラオスが先頭に立って中国の肩を持っているため、ベトナムの機嫌を非常に悪くしている。 雰囲気が尋常ではない方向に向かうと、ベトナムは結局、米国の手を握ったようだ。 もちろん表面的には中国と円満な関係を維持している。
米国の立場では、中国を牽制してくれるカードとしてインドを占って10年以上の支援をしてきたが、「骨折り損のくたびれもうけ」だった。 特に最近、カシミール地域でパキスタンと国境戦争をして武力衝突が起こったが、インドの空軍機2機も撃墜され、パイロットが捕まるなど虚弱な象の姿を見せた。 ASEANで米軍が思いきり駐留し、中国を牽制できるようにしたフィリピンは、ルッテルト大統領が就任してからは米国を遠ざけ、中国と親しくしており、米国としては戦略が欠けていた。 そんな中、米国に目に入ったのはベトナムだった。 人口1億の「骨に徹する反中」国家であり、無視できない軍事力を持つベトナムが、米国のパートナーとして適切だった。
賢明で柔軟性溢れる綱渡りの達人、ベトナムが一方的に米国の肩を持つはずがない。 ベトナムは現在の力学関係をうまく利用しながら、米国を中国を牽制できるジョーカーとしてのみ活用するだろう。 「米国は何としてもベトナム経済を助け、ベトナム軍備の現代化を助けるだろう。 実際、中国との領土紛争で、中国海軍からベトナムの巡視船が破損し、日本が無償で現代式巡視船を提供したりもした。
米中貿易戦争の中で最も得をしている国もベトナムだ。 関税を避けるためにチュングゲンに進出した外国企業がベトナムに生産基地を移すだけでなく、中国企業までもベトナムに工場を移している。 米国と中国が貿易紛争に合意したとしても、いつでも再び勃発しうる重大なリスクであるため、企業家は生産基地の移転をせざるを得ない。 ベトナム経済が発展せざるを得ない理由がいくつかあるが、皮肉にもグローバル危機とメコン川の危機がベトナム復興を早める促進剤の役割をしている。